派遣社員という働き方は、正規雇用に比べて不安定でデメリットが多いと思っている人がたくさんいます。特に、年配の人は未だに正社員に対してこだわりを持っている人が多いので、親や恋人の両親にはあまりいい顔をされません。
しかし、あなたの環境や考え方によってはメリットの多い働き方です。特に、次のような人は、ぜひ派遣社員のメリットを知ってください。
- これから派遣社員として働きたい
- 正社員として勤めている会社を辞めたい・転職を考えている
- 今後、起業や開業などの夢がある
- 結婚を控えている
- 正社員として働きたくない・ひとつの会社に縛られたくない
- 色んな職場や職種をしたい
- したいことが見つからない
このような人にとって、派遣社員という働き方には大きなメリットがあります。今後の自分の働き方や理想の生き方を思い浮かべながら、これからご紹介する派遣社員のメリットを見てみてください。
派遣社員で働くメリット
正社員に比べて、メリットが少ないと誤解されている派遣社員という働き方。メディアでも、悪いニュースばかり多く取り上げられるので、「不安定」「怖い」というイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、実際は「正社員にはなれない」「これが理想の働き方だった」と言う派遣社員はたくさんいます。
それには、たくさんのメリットがあるからですし、今後正社員になりたいと思っている人にとっても、有益なステップになるからです。
これから派遣社員になろうかと悩んでいるなら、具体的にどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
期間限定で働ける
派遣社員の雇用形態で大きな特徴なのが、期間限定で働ける点です。3か月更新が一般的で、その後継続するかどうかは自分で選べるので、合わないと感じた職場なら後腐れなくサクッと辞められます。
もちろん、派遣先とあなたの双方が望めば、ずっとその会社で働くこともできます。
正社員になると、一度入社したらその会社が自分に合わないと感じても、すぐに辞めることができません。合わないと感じながら、何か月も何年も時間を無駄にしている社会人は多いので、その点はメリットと言えます。
また期間限定で働けるというのは、退職して再就職するまでの「つなぎ」として使えるということでもあります。
すぐに就職先を見つけなくてはいけない状況でも、自分が希望する会社が短期間で見つかるとは限りません。失業保険が出ない、貯金がないという場合は、すぐにでも就職しなくてはいけないので、職探しを妥協して失敗することもあります。
しかし派遣社員として働けば、期間も決まっているので、次の仕事を計画的にじっくり探せます。
社会保険にも加入できる
ここで言う社会保険は、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つのことを指します。社会保険に加入すると、全額を自分で負担する国民健康保険とは違い、保険料を会社と双方で負担することになるので、あなたが支払う額が少なくなります。
この社会保険は、正社員でなくては加入できないと思っている人が多いのですが、派遣社員やアルバイトでも加入できる場合があります。
あなたの派遣期間が2か月以上(見込みも含む)で、年齢が70歳未満なら、次の条件を満たしたていれば社会保険に加入できます。
「労働日数が、派遣元で定められている1か月の労働日数=所定労働日数の3/4以上で、1週間の所定労働日数が3/4以上であること」
社会保険の加入は、派遣先の会社ではなく派遣元の会社が行ってくれます。条件を満たしているのか分からない、満たしているのに加入できていない場合は、派遣元に相談してください。
早く簡単に仕事を見付けられる
派遣社員として働く場合、派遣元の事業所に登録・面談などをすると、登録者に合った仕事を紹介してくれます。
自分で就活するとなると、ハローワークや求人誌・サイトなどで希望する会社を探し、面接に行き合否を待つという流れが必要ですが、派遣社員として働く場合「自分で職場を探して面接してもらい合否を待つ」というステップが不要です。
もちろん、派遣会社次第でスキルチェックが厳しいところや、面談で色んな質問をされるところもありますが、自分で就活をするより仕事を始めるまでの期間は短くできます。
職種は多いので自分の好みの仕事を選べる
派遣会社から紹介される仕事は、かなり幅が広くたくさんの職種があります。専門性が高く自分の持っているスキルを活かせる仕事もあれば、飲食や清掃など特別なスキルが必要ないものまで多岐に渡ります。
具体的にどのような職種があるのか、代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- 広告・ウェブデザイン
- 秘書
- 翻訳・通訳
- 営業
- 事務・総務・人事
- 物流
- 販売
- 飲食
- 清掃
仕事の幅が広いので、必ずあなたに合った仕事が見つかります。勤務時間なども自由度が高いので、アルバイトでは不安だけど正社員として働くのはちょっと…という人にとっては大きなメリットを感じられる働き方です。
高卒でも大手企業で働ける
派遣という働き方は、良くも悪くも学歴より「経験」や「スキル」を重要視します。理由は、派遣先が求めているものが学歴ではなく、即戦力としてすぐ働ける人材だからです。
ですから、過去の職歴や持っているスキルによっては、無名大学や高卒といった学歴でも、大手企業で働けるチャンスがあります。これは、派遣会社に登録する大きなメリットです。
逆に言えば、有名大学を出ていても派遣として働いて使い物にならなければ、契約が切られてしまうというデメリットもあります。
派遣社員として一定期間働くだけとはいえ、大手企業で働く経験はあなたの仕事力をアップさせますし、そこで作り上げた人脈は今後あなたに大きなチャンスを与えてくれるケースもあります。
また、派遣社員から正社員登用されることも珍しくありません。あなたが有能な人材だと判断されれば、会社もスタッフが変わるより優秀な人をそのまま残したいと思います。そうなれば、自分で探したら絶対に入社できないような会社で、正社員として働くこともできるのです。
給料は高めである
派遣社員として働く場合、アルバイトより責任は重く求められるスキルも高いのですが、それゆえに時給が高いのが特徴です。派遣の平均時給は約1,500円程度と言われています。アルバイトでは、それほど高い時給をもらうことは稀です。
正社員と比較すると、同じような仕事をしているのに給料が安いと感じるかもしれません。しかし基本的に残業をしない派遣は、残業をしている正社員と比較すると、時給換算では高額になるケースもあります。
正社員となれば、残業に加えて付き合いの飲み会、休日出勤なども必要になることがあります。しかし、派遣社員はそれらをしなくていいので、純粋に働いた分だけの給料がもらえます。
ノンキャリアの場合でも高額の給料がもらえる場合も多いので、こちらもメリットと言えるでしょう。
女性には嬉しい特典たくさん
女性は結婚や出産、育児などで職場を離れなくてはいけないケースがあります。どんなに好きな仕事でも、正規雇用で安心していても、家族の事情で働けなくなることが出てきてしまいます。
近年、産休制度なども充実してきましたが、まだまだ浸透しているとは言い難いのが現状です。そんな状況で正社員という働き方にこだわっていると、良い職場が見つからず何年も無駄にしてしまうことはザラにあります。
出産で職場を離れてしまった、仕事復帰したけどマタニティハラスメントを受けている、付き合いが多い職場なのに育児で参加できず気まずいなどなど、女性特有の悩みを解消できるのが派遣という働き方です。
結婚や出産などで環境が変わった女性が新しい職場を探しても、実際働き始めると家庭に無理が出てくることはよくあります。しかし、その都度会社を辞めていては、ストレスや疲ればかりたまります。
派遣の場合は期間が決まっているので、働き始めて家庭に無理が出てきても、期間終了まで頑張れば次の派遣先に移れます。その際は、以前の失敗を参考にできるので、より働きやすい職場を探せるのもメリットです。
時間や職種の融通も利きやすく、子供の年齢や状況に合った働き方ができるので、主婦だけでなくシングルマザーにもメリットが多い働き方です。
それ以外にも、未婚の女性で専業主婦になりたい人や、夢やしたい仕事が見つからない人が、とりあえず就職せず派遣で働くという方法もあります。大手の企業が派遣先になれば、福利厚生もしっかりしているので安心です。
少々あざとい考え方ですが、女性の場合大手企業の男性と出会うことも、派遣先次第では可能ということです。
他にも旦那の転勤が多い、子供が受験を控えている、介護が必要になるかもしれないという、家族のために働き方を変えなくてはいけない女性にとっても、派遣は働きやすい雇用形態です。
フリーターには無い満足できる福利厚生
派遣社員は、福利厚生も充実しています。代表的なものは有休がもらえることです。6ケ月以上勤務していれば、10日の有休が取得でき、年々取得できる有休の日数は増えていきます。
また、大手の派遣会社に登録すると、そちらの福利厚生を利用することが可能になります。内容は、一般的な中小企業より充実している事業所も多く、一例として次のようなものがあります。
- 有給休暇の取得
- 年に1度無料で健康診断を受けられる
- スキルアップ支援
- ベビーシッターやフィットネスクラブの割引
- 各種レジャー・宿泊施設の割引
こうした福利厚生の内容は、派遣会社で大きく異なります。これから派遣会社に登録する際は、福利厚生の内容も一度チェックしてみましょう。
ダメな職場環境に文句を言える
派遣社員の雇用主はあくまでも派遣元なので、派遣先に不満や疑問があれば派遣元に相談したり意見したりすることができます。正社員として働いていると、それができずいつまでもストレスを溜めたまま働き続けなくてはいけません。
また、人間関係に不満があっても契約期間の3か月や半年程度我慢すればいいので、何年も人間関係に悩み続けなくていいのはメリットです。これは派遣社員の大きな特権です。
どんな会社でも、程度の差はあれ不満は出てきます。しかし、限度を超えているのに誰にも相談できない、辞めることもできない、意見したら後々気まずくなるといった問題があると、毎日が本当に憂うつになります。
嫌な会社なら後〇ケ月で辞められると思えば、ストレスも軽くなります。仕事の悩みの大半は人間関係で、次いで会社の体制に不満というものが続きますが、派遣社員にはこれらの問題とはほぼ無関係と言えます。
派遣社員という働き方は、不安定と言われますが、逆を返せば自由度が高くストレスの少ない働き方です。状況や環境に合わせて上手く活用すれば、必死になって正規雇用にこだわる必要はありません。
現在、正社員という働き方も安泰と言えなくなっているので、メリットの多い派遣という働き方の需要は今後増えていくでしょう。